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- [お茶のおはなし] お茶の種類
同じ茶葉でも栽培方法・摘採時期・製造工程によってお茶の種類は変わります。
緑茶は、製法上の分類では「不発酵茶」に属します。
お茶の発酵とは、葉の中の酸化酵素によって主としてタンニンを酸化させることですが、こうして発酵させて作られたお茶の代表が紅茶です。 また半発酵茶といって摘んだ茶葉をある期間放置して酸化させた後に加工する製法で、ウーロン茶がその代表です。
これに対して不発酵茶は摘んだ葉をすぐに熱処理するものをいいます。
日本の玉露・碾茶(てんちゃ)・煎茶・番茶などはこの熱処理が蒸気で行われるため、不発酵茶の『蒸し製茶』と呼ばれます。
また摘んだ葉を蒸す代わりに、釜で炒る製法が『釜炒り茶』で、九州の宮崎県や熊本県などで脈々と受け継がれています。
お茶の種類(日本茶)
玉露(ぎょくろ)
茶摘みの約2週間前から茶園をよしずなどで覆います。
直射日光を遮ることで渋味が少なく旨みの豊かな味わいになります。
茶葉の形状は針のように細く、鮮やかな若緑色です。
玉露の仕上加工においては、形と色に重きをおき形を細目に揃えることと、鮮やかな濃緑色を保つため茶葉を極力すらないように細心の注意を払っています。
本茶の選別は煎茶に応じて行いますが、篩い目(ふるいめ)は比較的細かいものを使用しています。
また、火入れ(乾燥)は色沢を保つために、煎茶よりも低い温度の熱風で時間を長く行っています。
煎茶(せんちゃ)
茶畑で摘み取った生葉は、そのまま放っておくと酸化酵素の働きにより発酵が始まりますので、できるだけ早く新鮮な状態で熱処理(蒸す・炒る)することで酸化酵素の働きを止め、発酵させないようにします。
生葉を熱処理し、葉の形状を整えて乾燥させ、保存に耐えられる状態にしたお茶を「荒茶」といいます。この荒茶をさらに形状を整え、粉や軸などを取り除き、火香(ひか)をつけて仕上げたお茶を「煎茶」といいます。
煎茶は、緑茶の中でもよく飲まれている代表的なお茶といえます。
番茶(ばんちゃ)
製法は煎茶と同様です。茶樹下部の大きく硬めの葉を主な原料としています。 さっぱりとした風味で、普段使いのお茶として最適です。
番茶の呼び方は地方によって異なります。通常は上級番茶、やなぎは煎茶の中から比較的硬く大きな葉を選んだものです。
下級番茶は刈り落とし番茶と呼ばれており、一番茶摘採の後、茶樹の形を整えるために刈りとった茎や硬葉・古葉などで製造したものです。
関西では下級煎茶から細よれのお茶や粉をとったものを番茶と呼んでいます。
ほうじ茶(ほうじちゃ)
ほうじ茶は、漢字で「焙茶」と表記されることもあります。
煎茶、番茶、茎茶などをキツネ色になるまで強火で炒って、香ばしさを引き出したお茶のことです。
この他には、煎茶などの仕上げ加工工程で選別した比較的形の大きな茎や葉を混ぜてほうじたものも含まれます。
ほうじ機でほうじ香が発生するまで約200度で加熱し、すぐに冷却します。ほうじることによってカフェインが昇華(固体から気体に直接変化する現象)して苦みが抑えられるため、お子様やご年配の方にもやさしく飲みやすいお茶です。
香ばしさとすっきりとした軽い味が楽しめます。
玄米茶(げんまいちゃ)
水に浸した米を蒸して炒り、これに番茶や煎茶などをほぼ同量の割合で混ぜたお茶が「玄米茶」となります。
炒り玄米の香ばしさや、煎茶や番茶のさっぱりとした味わいが楽しめます。
玄米が混ざっていることで煎茶や番茶の使用量が少なくなるためカフェインが少なく、お子様やご年配の方にもお勧めできるお茶です。
碾茶(てんちゃ)
碾茶とは、抹茶の原料になるお茶のことです。作り方は玉露と同じように、覆い下の茶葉を原料にするお茶で、茶葉を蒸したあと揉まずに乾燥させます。
特有の覆い香に鮮やかな濃緑色と、旨みが強く苦渋味の少ないものが要求されるため、碾茶の原料には、玉露よりも被覆の効いたものを用い、しごき摘みまたは折り摘みで摘み取ります。
本茶は再乾燥後、冷蔵保管して販売状況に応じて抹茶向けに粉砕されます。
抹茶(まっちゃ)
茶葉(碾茶)を石臼で粉状に挽いたものです。
抹茶はミネラル・ビタミンを豊富に含んでいるため、美容や健康によい食品として注目を集めています。
抹茶の製造では、品質向上をはかるため碾茶乾燥機の出口に切断機や木茎分離機を設置し、葉や茎の分離を行っています。
味に苦みがあれば濃茶(こいちゃ)として点てられず、薄茶専用となります。甘さと香りの強いものは、濃茶にも薄茶にも用立てられます。
くき茶(くきちゃ)
くき茶とは煎茶や玉露を作る過程で振り分けられた「茎」で作るお茶です。 くき茶は別名「棒茶」とも呼ばれ、独特の爽やかな香りと甘味があります。
中でも、玉露や高級な煎茶の茶葉から作られたくき茶は、『白折(しらおれ)』や『雁ヶ音(かりがね)』と呼ばれ、その名称は、渡り鳥の雁が海上で体を休めるために止まる姿が浮かぶ小枝に茎の姿形が似ていることに由来すると言われています。
茎茶は通常のお茶と違い、一度注ぐと二煎目から香味が薄れていきます。
釜炒り玉緑茶(かまいりたまりょくちゃ)
生葉を蒸して加工する一般的な緑茶に対し、釜炒り茶は鉄製の釜で炒ることで発酵を止め、みずみずしい緑を保ちます。
独特の勾玉(まがたま)のような形をしていることから「グリ茶」とも呼ばれています。
釜炒り玉緑茶は中国式製法であるため、生葉の酸化酵素の働きを抑えるために釜の熱を利用します。
佐賀・長崎を主産地とする嬉野製と、宮崎・熊本の山間部で生産される青柳製があります。
品質については、嬉野製が形は丸型で玉状で、色沢は黄緑色、水色は金色濃厚。 青柳製は形は少し伸び型で、色沢は青緑色、水色は少し青みを帯びています。
また、玉緑茶には蒸し製のもの(釜蒸し玉緑茶)もあります。
粉茶(こなちゃ)
お茶の仕上げ加工工程に篩い分け(ふるいわけ)をして選別された粉だけを集めたお茶です。
茶葉そのものが細かいため、お茶の有効成分が水に溶けやすく、効率的に摂取できます。お寿司屋さんなどでよく出るお茶です。
粉状ですので茶葉の成分が短時間で溶け出し、比較的味の濃いお茶を淹れることができます。
ただ、茶葉の成分が非常に短い時間で抽出されるため、1煎目でお茶が出きってしまうので、煎茶のように何煎も使用することはできません。また、 粉茶といっても、あくまでも煎茶の製造工程で出た茶葉である事に変わりはなく、茶葉が完全に溶けてしまうことはありません。
お茶の種類(中国茶)
烏龍茶(うーろんちゃ)
製造時期としては夏季がメインで、台湾地区では夏至から大暑までの間に高品質なものができます。
高級烏龍茶の製造法の特徴は、炒葉のあとに回軟もしくは回潤という操作をしてから揉捻にかける点です。
代表的な銘柄は、凍頂烏龍茶・鉄観音・水仙・などがあります。
また黒烏龍茶とは、中国福建省?北(ミンポク)地区で栽培される烏龍茶のことです。
高山茶(こうざんちゃ)
海抜1,000m以上の高地で育てられたお茶を”高山茶”と称します。
茶葉一枚一枚を人の手で丁寧に摘み取り、軽発酵させたとても香り高いお茶です。
中でも金萱(きんせん)といわれる品種は、特有の香りを醸し出します。
USDA(米国農務省)の認定を受けた工場で、栽培管理から加工までなされているため、安心・安全な良質茶です。
包種茶(ほうしゅちゃ)
包種茶の製茶の適期は春・秋・初冬で、摘採は烏龍茶の場合よりも少し遅く、出開芽となった頃に行います。
生葉は柔軟で葉肉肥厚、淡緑色のものが良いとされています。 窒素過多で濃鮮緑色の葉や、多水分の生葉では色沢が黒ずんで しまい、香気が上手く発揚しません。
当日葉で製造するのが基本で、工場に入荷された生葉は、すぐ に広げて熱を放散させます。
包種茶は、比較的に発酵度が低く緑茶に近い烏龍茶といえます。
最初は福建省の安渓で作られていたと言われてる包種茶ですが、現在では台湾のみで生産されています。